「ガラスの動物園」読書会終了

昨年12月に開始した「ガラスの動物園」読書会、今日が5回シリーズの最終日でした。国立本店の小さなスペースに毎回10名前後の参加者があり、2回、3回と通ってくださる方が増えたのも嬉しかったです。

今日はエンディングのシーンについて、試作品である"Pretty Trap"と本編を読み比べ、ジム、ローラ、アマンダそれぞれの立場や心境をひとしきり議論した後、最終パフォーマンスも仕上げました。「え、そんなの聞いてないっ」という顔をしていた方もいましたが、好きな役を聞きながら担当する短いシーンを全員に割り振ってしまえば皆さん楽しそうに練習に取り組みます。そして最後の10分、DJマーサさん選曲の音楽に後押しされるように7つのシーンが順番に読まれ、本日の「美しいガラスの動物園」が完成しました。あったかい瞬間でした。

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ところでトムが結局その後どうしたのか、疑問が残った方もいらしたようです。
「僕は月には行かず、かわりにもっと遠くへ行ったーー時間とともにその距離は遠のく一方だ。」
から始まる最後のスピーチがそれを語っています。窮屈さに我慢できずに家を出たものの、いつまでも家族の記憶が、とくに姉ローラへの思いが頭から離れない。それを言うトムの時間が「現在」であり、母、ローラ、ジムが登場するシーンはすべてトムの過去の「記憶」というのがこの劇の構造です。

「ローラ、ローラ、僕は君のことを忘れようとしたのに、やっぱりそんなことはできないんだよ。タバコをつかんで、通りを渡って、映画館やバーに駆け込んで、酒を頼んで、誰でもいいから近くの人に話しかける――、ただ君の面影を吹き消したいがために!」
「君のキャンドルの火を消して、頼むよローラ、そして、さようなら•••」

そしてローラの幻影がろうそくの火を吹き消して、幕が降りる。
ろくそくの炎のように、フツっとこのお芝居は終わってしまうわけです。胸かきむしられるような切なさを観客に残して。

どうでしょう、参加した皆さん、今一度最後のスピーチを味わってみてください。
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# by tnexpress | 2014-03-19 20:01 | ワークショップ記録

「ガラスの動物園」読書会 実施中です

1月22日(水)11:30から、国立本店にて「ガラスの動物園」の読書会の2回目を実施します。

前回はオープニングから3場面ほど読みました。作品の質(たち)なのでしょうか、参加者の10代の頃の生活がたくさん話題に登りました。この作品は、記憶のココを刺激するんだな、ということに妙に納得したといいましょうか。

今週も楽しみです。続けての方も、新しい方も、ご参加お待ちしております!

(尚今後の日程について、最初にお知らせした日程が一部変更となり、2/19の回が中止で、3/19を追加しています。下記が最新情報ですので、よろしくお願いします。)

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# by tnexpress | 2014-01-21 09:45 | ワークショップ記録

2013年9月アメリカ

驚き。気が付けば夏の3ヶ月が終わり、急に寒くなってしまいました。
遅ればせながら、9月のアメリカ旅行の収穫について駆け足でレポートします。

今回は、ニューヨーク(東)→ ニューオリンズ(南)→ オレゴン州アッシュランド(西)と大三角形を描く移動でした。テネシー作品は合計3本見ることができました。

ニューヨークでは。
ガラスの動物園
劇評の5つ星に文句なしです。こういうふうに観たかったという、脚本から漂う繊細さ、現実と夢の間のような浮遊した空間が目の前に存在していました。4人の役者一人一人が素晴らしく、音楽も灯りも含めて理想的な完成度でした。ホテルまで涙目で歩いて帰りました。

Two Character Play
晩年の作品で非常に難解です。俳優の兄妹が、地方を巡演中に劇団員に逃げられて2人で本番をやらざるを得ないという窮地に立ったところから始まります。観客はすでに入場してきて、2人は幕の裏で右往左往。よく私達が本番前にうなされる悪夢のような設定ですが、冷めない悪夢なのでつらい。老練な俳優の見事な2人芝居でした。

その後のニューオリンズは、作家の住んだ家(転々としていたと言った方がよい?)を探して歩いたり、図書館で貴重なコレクション(書簡や初演の脚本、各種論文など)を探したり、素敵な文学書店に通ったりと、文学旅行を満喫しました。

最後のアッシュランドは、演劇が好きな方には一度は訪ねてほしい場所です。毎年春〜秋に「シェイクスピアフェスティバル」が開催されており、2万人の小さな町に年間40〜50万人の観客が押し寄せています。上演作品、劇場の運営システム、町の環境、食事、人々などすべてが期待以上で、必ずまた行こうと思っています。

ここで観たのは、
欲望という名の電車
やっぱりかわいそうなブランチ。普通の芝居1本みたくらいエネルギーが必要な場面が3つも4つもあるので、本当に切なくなります。それにしても、これはアメリカでは本当に人気のある、上演頻度の高い演目なんだな、ということをお客さんたちの会話から感じました。ブランチの役をできる女優さんがいつもそんなにたくさんいるというのが、ただただすごいことです。

•••つくづく英語で見る方がいいな、と。翻訳に何ができるのかな、と。原点的質問にふと立ち返るに至った旅行でした。なんとかあの雰囲気を伝えたいですが、まだまだ修行です。
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# by tnexpress | 2013-10-21 10:12 | 観劇ノート

ミュージシャンが来た日

 ショーの翌日は、1日予定を入れないようにしています。
前夜の余韻が残るうちに、ワークショップの経過で起きたこと、感じたことを整理するのに静かな時間が必要だからです。

 昨日は念願の、自宅での上演実験でした。古いお付き合いの先輩たち、初対面の方混合で総勢11名が参加。ミュージシャンが二人、一人からは写真をご提供いただき、台詞のリーディングに新しい要素を加えてみようという試みをしました。シーン構成は下記のように出来上がり。

<一幕>夕暮れのミシシッピ川、アーサーとハーサ、川と空の写真とともに。
<三幕一場>嵐の迫るガーデンパーティー、ヘヴンリィを取り合うディックとアーサー、やんちゃなギター添え。 
<三幕三場>ライラとアーサーからラスト(ロマンチック版)へ、ピアノとともにしっとりと。

これをいつも暮らしているリビンルームでやろうというのですから、国立本店の白い空間と比べて目と耳から入ってくる情報が格段に多い。それらを掌握できて、初めて読むお客様への気配りもできて、となるには役者たちにはもう少し度量が必要なようです。
しかし、「言葉」を扱う役者にとって、音楽には特に憧れがあって、生演奏で一緒にシーンを作っていただけるというのは至極の幸福なのです。それで昨日は皆わくわくし通しでした。

 ショーが終わった後は、待ってましたとばかりお酒をと食事で賑やかに、延々夜中まで。興に乗って、テネシーエクスプレスのメンバーは一昨年公演した"The Long Good-bye"の抜粋を読み、ギターの佐野さんにあの名曲を奏でていただくという場面もありました。あんなふうに、シーンをやっては飲む、やっては飲むという遊び、一晩中でも飽きません。


★参加した方より素敵なお写真いただいたので、珍しく掲載します。
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# by tnexpress | 2013-06-30 12:04 | ワークショップ記録

Voice is life, life is beautiful.

 昨日の素敵な旅について。

 SPRING STORM のリーディングショー、2回目が開かれました。作品の見せ場のメニュー表から参加者の希望を聞きながら3つのグループを作り、そこにサポートパフォーマーが一人ずつ入ります。私たちもどこを読むことになるのかその場に行くまでわからないので、結構ドキドキしていますが、この試みの一番のポイントは、お客さんの欲望に身を任せるということ。ミュージシャンはリクエストに応えてさらっと一曲弾いてくれるのに、どうして演劇の人は自分たちの用意したものをダーっと見せて終わってしまうんだろう、というのが私の常々の疑問なのです。カーテンコールの時にアンコールがあったら、もう1、2シーンやってくれてもいいんじゃないかと。ですからライブのアンコール部分を取り出したのがこのリーディングショーという感じでしょうか。

 昨夜のショーは、ちょうど4人の主人公の恋愛関係がよく見られるシーン構成となり、参加者の声のリレーが心に響きました。
「退屈な田舎町を出てもっと広い世界を見たい」(ディック)と燃えるまっちゃんには若い日の野望を、恋人に泣かれて「夏には俺たち結婚しよう」(ディック)と言わされた加藤君には誠実さを、片思いの美女に「現代詩集のプレゼントだよ」(アーサー)と差し出すにたさんには恥じらいを、自分に思いを寄せるハーサに八つ当たりするアーサーを読むすやまさんには邪心を、乱暴にキスを奪われ覚醒するハーサに「君がそんなだとは思わなかった」(アーサー)とあとずさりするまーささんには狼狽を、観客は確実に感じ取ったと思います。役と本人がきれいに五分五分に重なって見えるのが不思議です。

 仙台から来てくださった下館先生(20年来の私の演劇のお師匠さん)からは、「皆さんの声の質に、人生が出ている。」というコメントをいただきました。"Voice is Life" だね、と。
本当にそうですね。そして、"Life is Beautiful" ですよ、"Each life is beautiful" と私は心の中で言ったのですが、そのくらい一人一人がキラキラしていました。

参加者の皆さん、パフォーマーの皆さん、ありがとうございます。とてもよい晩でした。
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# by tnexpress | 2013-06-09 10:23 | ワークショップ記録