4月20日のワークショップレポート

また楽しく新鮮な週末を送ることができました。
今年1〜3月に実施したSPRING STORMの本読みワークショップ(輪読形式)に来てくれていた方を中心に、参加者が希望の役を読むという追加イベントを実施したのです。
最初に少しだけ輪読をして物語の復習をした後、希望を募ると嬉しいことに、
アーサー、ハーサ、ヘヴンリィ、など複数の方から希望の役とやってみたいシーンが出てきました。そして声の素晴らしい初参加の紳士には、こちらからお父さんの役をリクエストし、合計5つのシーンのリーディングショーとなりました。

各シーンとも、参加者とテネシーエクスプレスの役者がペアを組む形にして、ある程度リズムをリードさせていただきながらの上演でしたが、まあなんと。
ひとつの役を通して読むのは初めてというみなさん方が、慎重に、繊細に、台詞や役に近づこうとする姿に私は胸を打たれてしまいました。もともとテネシー作品の登場人物は繊細で傷つきやすいキャラクターが多いので、初めて読むという戸惑いが、ある時役の心情と重なって見えたりします。また、読み手のプライベートを知っている観客は、役と本人の共通項が見えた時が特に面白かったようです。台詞がほぼ偶発的に命を授かる瞬間を、かすかに、しかし何度も感じることができました。

「真実は、偶然を媒介として、現象する」のだそうです。

もっとたくさんの真実と出会えるよう、ワークショップの方法も洗練させて行きたいと思っています。ご参加くださったみなさんへ感謝です。またお会いしましょう!
[PR]
# by tnexpress | 2013-04-22 00:38 | ワークショップ記録

お客様も作る

 3月16日は"SPRING STORM"本読み会6回シリーズの最終回、ぎゅうぎゅうの満員でした。この日はいつもの本読みに加えて、お客様にリクエストいただいたシーンとラストシーンについて、4名の役者でリーディングパフォーマンを行うという試みも実施しました。

 お店での公開ワークショップということで、たまたま開始時間に店にいたので参加して、そのままリピーターになってくださるというお客様が何人もいたのは嬉しかったです。そして、なんといっても脚本を読みながらのディスカッション、登場人物の分析や、個々人の経験談による肉付け含めて、参加した方が本当に積極的に脚本を理解する作業に参加してくださいました。こうやってじっくり読んで自分なりに想像力を鍛えてからパフォーマンスを見ると、一気に情景が立ち上がるという感想もいただきました。

 役者たちもたくさんのアイデアを皆さんからいただきました。自分で演じてみたいという方もいらしたので、次回はお客さんからやりたい役とシーンを自己申請してもらって、周りを役者たちが固めて即席でシーンを作ってしまおうという企画も持ち上がりました。これからもいろんなアイデア試して行きたいと思います。参加できる遊び、みんなで作るエンターテイメント、面白いですね。

 とにかくお客様にめぐまれた6回シリーズを終えて、今日は幸せな充実感で眠りにつけそうです。会場提供と企画運営を手伝ってくださった国立本店のみなさまへ、心から感謝です!
[PR]
# by tnexpress | 2013-03-17 01:02 | ワークショップ記録

本読み会@国立本店

 国立での本読み会、全6回中2回目を昨日実施しました。
 今回はテネシーも戯曲作品もほぼ初めてという参加者が多く、先入観のない反応がかえって作品の特徴を客観的に教えてくれるような気がします。私自身にとってもよい緊張感であり、1セッション終わると確実に腹ぺこです。

 使用している脚本は、私の翻訳版ではもともと87ページある原稿を、今回用に77ページ分に少しだけ省略し、それを6回に分けて連続ドラマのような感覚で読んでいます。私は時代背景の説明など少し加えることはありますが、物語の先の情報は一切差し上げません。参加者は純粋に脚本を音読しながら順番に情報を読み取っていきます。ページを開くごとに新しい情報が入ってくるワクワク感がありますから、よく知られた古典を読むのとはまた違う楽しさです。

 私は、テネシーが生きた時代がもう少し後だったら、テレビドラマの脚本家としてすごい活躍をしたのではないかと思うことがあります。演劇のように2時間で一気に鑑賞するにはもったいないようなたくさんのドラマが、各幕から2ページごとくらいにボコボコ発生するのです。各幕の最後には次回がどうなるのか気になってため息が出るという、この密度とリズム感に連続ドラマっぽい心地良さがあって、最終回が近づくと寂しくなってきて、終わらないでほしいなと思ったりするのではないか、と。登場人物の描写もそれぞれ立体的で深いため、主役脇役の別なくドラマを重層的に楽しめる仕掛けがふんだんで、現代で言えばスピンアウト企画のドラマがいくつもできてしまいそうな勢いがありますね。

 このワークショップの様子を、国立本店のfacebookにご掲載いただきました。関心ある方はお問い合わせください。(1/30の投稿です。)
国立本店FB

 引き続き、元気な参加者のみなさまとワークショップを楽しんでいきたいと思います。
[PR]
# by tnexpress | 2013-02-03 11:46 | ワークショップ記録

国立本店に入居しました

最近地元の町に面白い場所を見つけました。
国立本店さん、本をきっかけにして町と人とつなぐ活動をしているお店です。ここには壁いっぱいの本棚があり、希望者は一区画を借りて紹介したい本を設置、お客さんは自由に閲覧できるというシステムになっています。「本の団地」という発想だそうです。

私も早速入居を希望して、昨日から「テネシー•ウィリアムズの部屋」という棚を設置させていただきました。他の棚を見ると、気になっていた本があったり、たまたま私と同じ本があっても文脈が違ったりと、話題のきっかけがたくさんありまして、お互いの頭の中にある大事な部分を見せ合うような感覚ですね。場所は国立駅(JR中央線)のそばで、営業は木曜から日曜の午後の時間帯です。お近くにお越しの際はぜひ寄ってみてください。


さて、私が設置した本を一部紹介させていただきます。
作品が生まれた背景や、テネシーの人物像に着目してみようというラインアップで、あえて「欲望〜」や「ガラス〜」などの人気作品は使わずに構成してみました。

「Tennessee Williams and the South」
  K. Holditch & R.F. Leavitt著 (MISSISSIPPI)

テネシーとアメリカ南部のつながりをまとめた資料集。写真資料が豊富で当時の雰囲気がつかみやすく、作家の幼少期のバイオグラフィーとして読めます。著者たちの南部びいきが過ぎて部分的に客観性に欠けるような気がするのはご愛嬌ということで(笑)。

「ぼくがイグアナだったこと」市川節子著 (南雲堂)

テネシーの長編戯曲のうち7作品を取り上げた解説書です。彼の経験や精神状態が作品に与えた影響を時間軸と共に理解できるのがこの本の素晴らしいところ。分析の視点も深く温かく、安心して身を任せられるテネシー世界のガイドブックです。

「ミシシッピの生活 上•下」マーク•トウェイン著/吉田映子訳 (彩流社)

トム•ソーヤやハックルベリー•フィンの小説で人気のマーク•トウェインが、ミシシッピ川を往来する蒸気船の水先案内人たちの生活や武勇伝を収集した随筆で、元新聞記者というのがうなずける渋い本です。テネシー作品にも多く登場する世界最長の川の存在感を想像する手がかりとして、セレクトしました。


他にも、初期の一幕劇集の本や、テネシー•ウィリアムズが好きだったはずのチェーホフ、ヘミングウェイ、三島由紀夫の文庫本を1冊ずつ、等のいたずらもしています。展示する本のセレクション自体、楽しい頭の体操でした。
[PR]
# by tnexpress | 2013-01-20 13:21 | テネシーの魅力

今年も残りわずか

 またあっと言う間に年の終わりとなりました。
The Long Good Bye を上演してからもちょうど1年です。今年の活動は、新しく長編の翻訳を1本やり、その本読みワークショップを秋に開催というところまででした。地味めの活動成果ではありますが、参加した皆さんの反応で来年から発表に向けて動けそうだと勇気づけられました。
 
 始めよう!としている時には、よい出会いがあるものです。ちょっとした立ち話がきっかけで、1月から新しいグループと本読みワークショップを始める案が持ち上がったり、最近見つけた素晴らしいテネシー作品の解説本の著者の先生とコンタクトをとることができたりと、この2週間くらいの間に幸運が重なりました。知らず知らすのうちに、自分のアンテナが伸びて勘が冴えてきているようです。

 というわけで、新年からの動きが具体的になり次第またこのブログでも紹介していきたいと思います。皆様も、よいお年をお迎えください。
[PR]
# by tnexpress | 2012-12-30 23:59 | 道草