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ミズーリ州セントルイス

 仕事で1週間ほどアメリカにいて、昨日戻ってきました。ぎりぎりのスケジュールながら、このタイミングにテネシーの国へ行ける縁を感じて週末はニューヨークで衣服、小物、本など芝居に使えそうなものを探してそぞろ歩き。

 そして最後の日曜の夜には元同僚と再会してディナーをしました。職場の近況をひとしきり話した後、私の芝居の話しになって、彼女のお父さんがミズーリ州、セントルイスの隣町の出身だったのを思い出しました。セントルイスと言えば、テネシーが7歳から青春期まで暮らした町で、今回上演の「THE LONG GOOD-BYE」や、名作「ガラスの動物園」の舞台となっています。

 「どんな町?」

 「典型的な中西部の都市ね。コミュニティ意識が強くて、よそ者にはあまり開かれてないの。そうパイオニア文化、私たちのようにはビジネスしないのよ。農業やもの作りが得意な人たちでね、独立心旺盛。南北戦争の時も武器生産の拠点だったけど、中立を保ったし。
ミシシッピ川があるでしょ。昔の物流はセントルイスが終着点 で、東部の人は怖がってそこより西には行かなかった。発展と未開の分岐点みたいな場所だったのね。」

 歴史的、地理的背景を要領良く説明してくれました。彼女はまた、その地域の生活を飾り気なく書いた作家として、テネシーとマーク・トウェインを挙げました。マークののどかさと、テネシーの切なさは何か対称的な印象を受けますが、そういえば2人とも、若い時に船乗りとして働いた経験があります。そして作品の主人公には、船で外の世界へ飛び出す夢を語らせています。

 田舎町に住んでいても、外にはもっと広い世界があることを直感的に知っていている人たちがいます。早く大人になって、家族やコミュニティの窮屈な束縛から開放されたくてうずうずしている。そのことが、故郷への複雑な感情をはぐくみます。私自身もそうだった。だからそういう角度から故郷を描くテネシーに、とても共感を覚えるのです。セントルイスの話しをききながら、その理由が今までよりもわかったように思いました。

★12月の公演のご案内はこちらから。
THE LONG GOOD-BYE
by tnexpress | 2011-11-23 20:53 | 道草

ハウスシアター

 面白くなってきました。
10月の後半は2週末連続で私の自宅でお稽古を実施しました。12月に初めての公演を実施するので、ワークショップというよりは、すっかり芝居作りに突入しています。

 家族の手前今までちょっと遠慮していましたが実は、家で芝居の上演をするのは私の夢です。我が家のリビングが使えることを確信したのは、昨年のこと。イギリスで俳優をしている旧友Jamie君が仕事で東京に来ていた際に1日遊びに来て、以前に演じたハムレットの名台詞 To be, or not to be 〜 をソファに掛けたまま語ってくれたのです。 その驚くほど自然な語り口に吸い込まれて、数名の観客は一気に別世界を旅したのでした。時空を超える家、楽しいと思います。オズの魔法使いのようでしょう?

 失礼しました、話を戻します。
テネシー作品は大半が家の中のおはなしなので、家でやると妙に落ち着きます。ソファ、食卓、台所、階段、電球など、生活感のあるものに囲まれた環境では「台詞」の力みが抜ける。会話の間合いもゆっくりしてきます。家族や親友との会話なんて、それほど効率的には行われないし、上の空だったり、双方勝手を言ったりしている、そんな伏線も皆自分でどんどんつかんでいきました。12月に公演を行う会場 Gallery MAKI もマンションの一室を改装した小さなギャラリーであり、家で上演する雰囲気をうまく持ち込めたらと思っています。

 古今東西、芝居好きは家に劇場を作っていたような気がします。日本の近代演劇の祖、坪内逍遙先生は自宅に能舞台を作りました。私の憧れの Ms.Rowena Cadeは、自宅裏の断崖を利用して海を背景にした野外劇場(Minack Theatre)を作りました。2人とも芝居で儲けることは考えず、ただ好きなもののために財を投じた感があります。嗚呼、人間のロマンですねえ。

Minack Theatre
by tnexpress | 2011-11-02 01:40 | ワークショップ記録