<   2012年 06月 ( 2 )   > この月の画像一覧

Cassavetes' Love Streams

昨年の芝居作りにずっと伴走してくれたムライさんに、私の何かがカサヴェテスと似ているからぜひ見てごらんと言われてから気になって、まずはレンタル屋に唯一あった「グロリア」を見た。そして、実はカサヴェテスの信奉者である夫が中でも一番好きだという「ハズバンズ」のDVDを家に持っていたのでそれも見た。他の作品をどうやって見たらいいのかな、、、と思っていたら今月渋谷のイメージフォーラムでカサヴェテス映画の特集がかかっている。

先週「オープニング・ナイト」を見てぞわっとした。老いにもがく大女優役のジーナ・ローランズが「17歳の私は何でもできた。今の私は頭と体がバラバラだ」と言う。心身ともボロボロになりながらも舞台に帰るしかない寂しさとおかしさ。17歳の感性をずっとキープできる人にだけアーティストの資格があるんじゃないか、と長いこと思ってきたけれど、そんなに単純なものいいをするのはやめよう。

昨日は「ラブストリームス」を見に行った。姉弟とその家族の愛情が迷走する物語。切実な場面の連続の前で内臓はポカポカしてくる。これが愛の温度なのかしら。帰りの電車の中でもずっと涙がこぼれそうなのを我慢した。そして、埼玉の叔母さんが病気で亡くなる前に、父(叔母にとっては末の弟)と2人でしみじみと話をすることを希望して彼を家に呼んでいたことが妙に思い出された。
この作品はカサヴェテスの遺作となり、製作時は余命6ヶ月と宣告されていたそうだ。邦題が「ラブ・ストリームス」という表記なのはちょっと残念。本来は"love streams and it never stops" という流れるようなイメージなのだ。愛は溢れ出し、流れ続けて、止まるところを知らず。彼の生涯をかけた叫びが凝縮されている、大事なタイトルだと思う。
by tnexpress | 2012-06-15 00:56 | 観劇ノート

パリの記録

やっと終わりました。
この2ヶ月、相当なプレッシャーだったバルセロナでのイベント仕事が先週で完了!
今週はパリに移動して少しオフの時間もあったので、2本観劇してきました。

"Le Fils" (息子)  by Jon Fosse
*ノルウェーの現代作家のヨン・フォッセの作品は世界中で人気があり、たくさんの翻訳上演もされているそうです。抽象的で一見難解ですが、 家族と生と死についてのテーマというのは文化を超える普遍性があるのでしょう。

"Mademoiselle Jullie" (令嬢ジュリー) by August Strindberg
*知人のメールでジュリエット・ビノシュの「令嬢ジュリー」がパリで公演中であることを知り、慌てて行ってみました。こちらも原作は北欧、スウェーデンですね。

演劇という娯楽の前提として、「言葉がわかる」ことがあるよな、と再認識した今回でした。というのも私はフランス語ができないので、劇場のサイトから前売りを買おうとした時にはフランス人の助けが必要だったし、当日券で入ろうとしたオデオン座(令嬢ジュリーの方)では、売り子に「全部フランス語で2時間よ」と怪訝な顔で念押しされました。パンフもアナウンスも全部フランス語。芝居を見に行ったと言うと、現地の同僚からは「勇気あるねえー」と驚かれました。まあ確かに、逆の立場を想像すれば、日本の芝居を普通の外国人に勧めることはないかもしれない。そういう意味では、歌舞伎座のイヤホンガイドは本当に便利です。

それよりおかしかったのは、やはりオデオン座で、「4階席しか空いていなくて、舞台から遠くて全然見えないよ」という売り渋り。いやいや、それは今日しかダメな私にとっては席があるという意味なのだよ。ここまで買いにきている客に、どうしてそんなにいくつもハードルを設けるのだろう?・・・結局入ってみればそれほど大きい劇場ではなく、舞台は全然近いし、角度が急なため奥の演技は確かに足しか見えないけれども、14ユーロにしては満足の環境でした。

そんなこんなで、ともかく一仕事落ち着いて、ようやくコツコツ生活に戻れそうです。
by tnexpress | 2012-06-03 18:28 | 観劇ノート